+R2捏造
+ロロとは幸せ家族計画進行中
+スザルル恋人設定
+ちょっと乙女でちょっと自虐的でちょっと抜けてるルルーシュ


恋人より愛を込めて!



自室に入り制服から部屋着に着替え、机で読書をしていた俺は、携帯に手を伸ばした。
新着メッセージも着信もなし。

待っている、と認めてしまうわけにいかない理由は、俺のプライドが許さないから。
だから、決してあいつを待っているわけではなくて、ただ単に眠れないだけだと自分に言い聞かせた。

俺自身、すっかり忘れていたと言えど、今日は俺の誕生日。
たくさんの人に祝ってもらった。
生徒会のメンバーにはバースデーパーティーを開いてもらったし、ロロには素敵なプレゼントまでもらった。

しかし、一人だけ、そこに含まれていない人物がいる。
認めたくはないが、きっと俺が一番祝って欲しかったのはその人物で。

時計を確認すれば、針は刻々と頂点を目指して進んでいた。
きっと『仕事』なのだろう。
分かっている、俺もあいつもこういうことに足を突っ込んでいる以上、休みだなんだと言える立場ではない。

それに、俺が忘れていたくらいだ。
あいつだって覚えていないかもしれない。

そう考えた途端、なんだかもう待っていてもこないだろうという方に気持ちが傾き始めた。
第一、あいつは脳みそまで筋肉で出来ているような人間だ。
俺の誕生日などという些細な情報など、気に止めておくことすら無理かもしれない。
そうだ、きっと忘れている。

少し自虐的な思考になりつつ、俺は、大して頭に入っていなかった本を閉じ、部屋の明かりを消すために立ち上がった。

もう寝よう。
そう思い、明かりを消した俺は、そそくさとベッドにもぐりこんだ。

カーテン越しに月明かりが差し込む。
青白いその光は、俺の心情を表しているような気もした。

そうしているうちに瞼は自然と落ち、思考もぼやけてきた、そのとき。




―――コンコン




浅い眠りに入りかけていた俺を一気に覚醒させたのは、窓ガラスを叩くような、とても小さな音だった。

聞き間違いかとも思ったが、自分でも神経質だと理解しているこの性格上、無視はできなかったので、ベッドから起き上がり窓の方へと向かい、カーテンを、開けた。

すると、


「っ・・・スザク・・・」


ガラス越しに見えたのは、やわらかそうな癖毛を揺らし微笑む、枢木スザクだった。

俺は急いで鍵を開け、窓を開けた。


「この馬鹿!おま・・・ここが何階だと思って」

「ごめんごめん、驚かせて悪かったよ。いや、夜遅いからインターホン鳴らすと良くないかなと思って」

「その配慮ができるのになぜこんな非常識なことができるんだ!考えられない」

「まあまあ。あ!それよりルルーシュ、今何時?」

「はぁ?」


こそ泥よろしく窓から無事侵入を果たしたスザクがいきなり言うものだから、俺は盛大に眉間にしわを寄せてやったが、その抵抗もむなしく、いいから、と促されるままに時計を確認した。


「23時54分だな」

「あ、危ないところだった・・・」


時間を聞きなぜか安堵の息をつくスザクに、俺は安眠・・・しかけていたところを邪魔されたこともあり、少しイラついていた。


「で、なんのようだ」

「何って、分かってて起きててくれたんじゃないの?」

「は?意味が分からないし第一、俺は眠る一歩手前だったんだぞ。それをいきなりお前が」

「えぇ!頑張って抜け出してきたのにそんな・・・」


俺の言葉を切ったのは意図的なのかそれとも無意識なのか。
不本意そうな表情を浮かべ少し落胆するが、全くもって理由が分からない。


「じゃなくて、とにかく間に合ったんだから、渡さないと」

「だからなにを」

「これ」


そう言ってポケットから取り出した、手のひらほどの立方体の箱を差し出してくる。
なんだかデジャブ・・・?


「え、今日、だよね?あれ、もしかして僕間違ってた?!うそ・・・」


怪訝な顔をする俺に焦ったのか、慌て始めるスザク。
・・・今日?



・・・ああ、そうか、今日は俺の誕生日だったか。



つい数分前まで、目の前の人物からの連絡を待っていたと言うのに、俺としたことが、眠気で吹っ飛んでしまっていたらしい。


「・・・あっている」

「どうしよう・・・えっと、って。え?」

「だから、今日であっている」

「・・・なんだ、びっくりしたじゃないか。よかった。あ、それより、早く受け取ってよ、プレゼント」


そう言って改めて小箱を指し出してきたので素直に受け取る。
包装紙はなく、手触りのいい黒い箱に赤いリボンがかけられていた。


「開けて見てよ」


そう促され、本日二度目の、プレゼントを開けるとき独特の緊張感を味わいつつ、リボンを解き、箱を開けた。

そこにはさらに入れ物が入っていた。


「スザク、これって」

「いいから」


そう言うものには疎いが、俺でも分かる。
恐らく、この入れ物の中には―――


「・・・・・・指輪、」


少しためらったが、手に取って見ればそこには、小さく2人の名前が刻まれていた。


「どうしても贈りたかったんだ。僕のわがままだと思って受け取ってくれないか」

「・・・・・・」

「わかってるよ、俺は女じゃない、とか、そんなことを思ってるんだろ?」


図星だった。
というか、男にアクセサリー、それも指輪なんぞを贈られて喜ぶような男などいないだろう。


「他のものも考えたんだけど、僕と君をつなぐ、証が欲しくて。これ」


そう言ってスザクは、首元からチェーンを引っ張り出した。


「それ・・・」


そこには、大きさは違えど、同じ指輪が繋がっていた。


「君が恥ずかしがると思って黙っていようかなとも思ったんだけどね」

「は、恥ずかしいに決まっているだろ!馬鹿め!!」

「分かってるって。だけど、僕からのお願い。指につけなくてもいいから、身につけていて欲しいんだ。ルルーシュと、繋がっていられるように」


真直ぐに俺を見つめ、そう懇願するスザクに、俺は―――、折れた。


「・・・わかった。スザク、チェーンはあるか?」

「ルルーシュ・・・!ありがとう!!」

「っ・・・!」


あからさまに嬉しそうな表情を浮かべるスザクに、顔が熱くなるのが分かった。


「僕がつけても、いいかな?」

「か、勝手にしろっ!」

「まったくもう、照屋さんなんだから・・・」

「何か言ったか?」

「?何か聞こえたの?・・・あ、ルルーシュ、ちょっとかがんで」


白々しく俺の言葉をかわし、ポケットから取り出したチェーンに指輪を付け、俺の首にかけた。




「ふうん、ペアリングなんて、お熱いことだな」


「「!」」


いきなり背後から声がしたかと思い振り返れば、そこには、


「C.C.・・・!おま、いつから?!」

「おやおや、2人の世界に入り込みすぎて気づいていなかったのか」

「う、うるさい」


ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべつつからかってくるC.C.に、今度は顔どころか全身が熱くなっていくのを感じる。


「お、お前も用が済んだんだから帰れ!」

「え、ちょ、ルルーシュ」


行き場のない熱をごまかすために矛先をスザクへと向け、無理やり身体を反転させて背中を押す。


「照れ隠しのつもりかな?坊や」

「黙れ魔女!」


窓の外に追いやり、一応別れの挨拶を告げようとした瞬間、スザクがいきなりカーテンを閉め、背後の五月蝿い女をシャットアウトした。


「何のつもりだ・・・ちょっ」


不意に唇に柔らかな感触と熱。

一旦離れていったそれは、今度は俺の耳元に近づき、


「言い忘れるところだった。誕生日、おめでとう。生まれてきてくれてありがとう、ルルーシュ、










・・・愛してる」









「スザ・・・」

「じゃ!」


放心状態の俺を置いて、スザクは颯爽と窓枠から飛び降りて行った。










「・・・っ!!この体力馬鹿が!!!!」




















Happy Birthday Leloich!!