+R2捏造
+しあわせ家族計画進行中
+ほのぼの甘々


弟より愛を込めて!



「楽しかったね、兄さん」


顔を綻ばせ、そう声をかけてきたのは、隣に座るロロ。
その表情は自然で柔らかな笑みで、とても殺し屋紛いの仕事をこなしていた少年だとは思えなかった。


「そうだな。俺も、皆に祝ってもらえて嬉しいよ」


俺自身もきっと、浮かべる笑みは家族に対するそれのような、温かなものであると思う。

目の前で微笑むこの少年、ロロを、俺は確かに憎んでいた。
愛するナナリーの居場所を奪い取った極悪犯で、許すまじ存在であると、胸に刻んでいた。
しかし、今、こうして笑いあっているのも確かな事実で。

居候の魔女に言わせれば、俺は甘すぎるのだと言う。

真正面から信頼や、好意を寄せられるとどうしても邪険に出来ない。
憎んで憎んで、憎み倒して、傷つけて捨ててしまおうと思っていたが、どうやら『兄弟』として接するうちに情が沸いてしまったらしい。
俺を慕うその姿を、無意識にナナリーと重ねていたのかもしれない。

とにかく今は、ロロを『弟』として扱っている。


「それにしてもあのケーキ、すごい大きさだったよね。僕、あんなの初めて見たよ」

「確かにあれには驚いたな・・・いやそれより、あんなでかいケーキを全て片付けてしまうあいつらの胃袋の方が驚いたな」


そう、冗談めかして言えば、くすっと静かにロロが笑った。


先ほどまでの騒がしさが嘘のように静まり返っていた。

今日は俺の誕生日で(俺は忘れていたのだが)、お祭り事が大好きな我らが会長、もとい、元会長がわざわざ学園まで来てサプライズパーティを開いてくれたのだ。
リヴァルやシャーリー、カレン、そしてロロまで巻き込んで、今日のために俺に隠れていろいろ準備をしていたようだ。
おかげで、とても驚かされたし、素直に嬉しくもあった。

途中、王様ゲームやら、シュークリームを使ったロシアンルーレットやらに参加させられて、正直不快な出来事も多々あったが・・・それも含めていい思い出になったと思う。


「もうこんな時間か・・・」

「今日はもう、仕事もないんだよね?たまには早く休んだら?」

「そうだな。ああ、そうするよ」

「あぁ!」


突然大きな声をかけてきたロロに、俺は訝しげな表情をする。


「いけない、忘れてた。兄さん、ちょっと待ってて」


俺が返事をする間もなく、ロロは自室へと駆け込んで行った。
何か大事な用でもあったのだろうか・・・
すると、すぐに、息を切らしたロロが戻ってきた。


「ごめっ・・・兄さっ、はぁ・・・・・・」

「別に構わないが・・・とりあえず落ち着け」

「う、ん・・・・・・ふぅ。よし、お待たせ」

「あ、ああ」


息を整え、ロロは笑顔で顔を上げた。


「これ。せっかく用意したのに忘れるところだったよ」

「?」


なにやら手のひらほどの、長方形のラッピングされた箱を手渡された。


「兄さん、誕生日おめでとう。どうしても、プレゼントを渡したくて」

「ロロ・・・」


シンプルな白地の包装紙に、上品な紫のリボンがかかっている。
リボンと箱の隙間には、『兄さんへ』と書かれた、恐らく手書きであろうカードが挟まれていた。


「空けても?」

「もちろん」


リボンの結び目を丁寧に解き、包装紙も破かないよう注意しながら開いた。
中からは同じく真っ白な箱が現れた。

そして、その蓋を空けると―――


「・・・ストラップ?」


黒い皮のベルトに銀のプレートが付いた、シンプルなストラップが入っていた。
プレートには、小さく『Lelouch』と書かれている。


「そう、ストラップ。僕の誕生日にもらったのも、ストラップだったから」

「わざわざ選んでくれたのか?」

「すっごく悩んだよ。本当は、僕のとおそろいでペンダント付きにしたかったんだけど・・・」


兄さんが誰の写真を入れるかなって考えたら、選べなかったんだ。

そう俯き、小さくつぶやいた。


「ありがとう。嬉しいよ、ロロ」

「本当?僕、人にプレゼントをあげるのなんて初めてだから、喜んでもらえるか心配だったんだ」

「ストラップも気に入ったが、俺のためにロロが選んでくれたという事実が一番嬉しい」

「っ・・・兄さん・・・!」

「本当に、ありがとう」


心から、温かい気持ちがこぼれてきたような、そんな笑みをたたえて俺は、感謝の気持ちを伝えた。

俺の、弟に。


「さ、ロロ。たくさん騒いで疲れただろうし、そろそろ寝よう」

「あ、兄さん。その・・・」

「どうした?」


少し顔を赤らめ、上目遣いで俺を見やる。










「一緒に、寝ない?」










・・・・・・。






・・・・・・・・・。






・・・・・・・・・・・・。






「・・・ロロ、お前ももう高校生なんだ。兄と一緒に寝るなんて恥ずかしいことだと思え」

「今ちょっと揺れたよね?!」

「いいから早く寝ろ」


そう言い放ち、自室へと足早に進んでいく。
後ろでロロが何か言っていたが、完全にシャットアウトしてドアを開けた。




・・・顔が熱い。












Happy Birthday Leloich!!